

コショウ 156,000ドン/kg、コメST-21インディカ高級銘柄 28,000ドン/kg、1米ドル≒25,700ドン。
2018年以降、長年にわたるコーヒー価格低迷により、バリア・ブンタウ省の農家はコーヒー栽培をやめ、コーヒーノキを伐採した。しかし、過去2年間でコーヒー価格は60,000ドン/kg(2023年)から130,000ドン/kg(現在)まで急騰した。価格上昇は、農家にとってコーヒー再栽培の好機到来といえる。コーヒーノキはかつてバリア・ブンタウ省の主要作物の一つだった。バリア・ブンタウ省産コーヒーの品質はいまも顧客から高く評価され、好まれている(バリア・ブンタウ省産の有機コーヒーとしてフーミー市オンビエン(海の蜂)コーヒーがあり、有機カカオバターで焙煎されたチャウドゥク県OCAカカオコーヒーがある。また、バリア・ブンタウ省一村一品運動認証(OCOP認証)製品として、チャウドゥク県ランロン社のキズナ(絆)コーヒー、クビ社のビパ(ViPa)コーヒー、バリア市のビンミン(平明)コーヒー、フーミー市のノンラー(𥶄蘿)コーヒーがある。
バリア・ブンタウ省農業農村開発局作物及び植物保護局の統計によれば、同省の2025年現在のコーヒーノキ栽培面積は2,552 haを少し超える程度である(2022年の栽培面積約3,826 ha、2023年の栽培面積3,643 haから急減。ここにはビンズオン省に本社を置くコーヒー輸出大手フクシン(福生)グループによる新規コーヒー作付け面積は恐らく含まれていない。比較として、2025年現在の同省カカオツリー栽培面積約650 haである)。コーヒーは現在供給の急激な減少に見舞われている。それはまた、2024年初めから現在に至るコーヒー価格の継続的な上昇・高止まりの理由でもある。 ベトナム・コーヒー・カカオ協会(VICOFA)は、2024年以来、ベトナムのコーヒー価格(訳者注:及びカカオ価格)は上昇し続け、多くの農家がコーヒー栽培が安定した生産量で高い利益をもたらすと信じて、再びコーヒー栽培に投資するようになると見込む。コーヒーは、今後も引き続き開発が注目される主要作物であり続けるだろう。農業農村開発省(現・農業環境省)の「2021-2025年段階ベトナム・コーヒー再耕(植え替え)提案」(スキーム1178)は、全国で約11万 haのコーヒーノキを植え替え、または接ぎ木することを数値目標としている。そのうち75,000 haは植え替えられ、32,000 haは接ぎ木と更新が行わる。コーヒー再耕(植え替え)の対象地域は中部高原五省のほか、西北二省(ディエンビエン、ソンラ)、北中部一省(クアンチ省)、東南部三省(ビンフオク、ドンナイ、バリア・ブンタウ)にも拡大されている。

記者の取材によれば、バリア・ブンタウ省においても、多くのコーヒー農家が、収穫量の少ない古いコーヒーノキの植え替え(更新)や、コーヒーへの復帰・再栽培を始めている。 バリア・ブンタウ省チャウドゥク県ソンビン社キムビン村(婆地淎艚省週徳県山平社金平村)に住む農家女性カオ・ティー・ゴク・ジエプ(高氏玉葉)女史はその例である。数年前、彼女は1 haのロブスタ(カフェヴォイ)のサインルンを植え、2024年の雨季にはさらに1 haを植えた。ここは彼女の家族がかつてコショウ(胡椒)を栽培していた地域であるが、生産性が低く、かつ価格が下がったため、コーヒーの栽培に切り替えた。ジエプ女史によれば、コーヒーノキを選んだのは、価格が上昇しているからだけではなく、コーヒーの収穫量と生産量がかなり安定しており、害虫や病気の影響を受けにくく、手入れ・世話が簡単で、管理、労働、収穫の経費がコショウや他の作物の栽培ほど高くないことも理由である。
チャウドゥク県ランロン社ソンソアイハイ村(週徳県廊𢀲社滝吹二村)に住むヴォー・ゴク・タイン(武玉青)氏(70歳)は、1.8 haの土地に400本のロブスタのサインルンをドリアンと混植し、3年間収穫してきた。コーヒー豆の価格は昨年の2倍で、高くなったとタイン氏はいう。昨年、彼の家族はコーヒー豆を1 kgあたり5万~5万9千ドンでしか売れなかったが、今年はシーズンの初めには1 kgあたり11万5千~12万ドン(約4.6米ドル、660円)で売ることができた。さらに嬉しいことに、今年は彼の家族のコーヒー農園が豊作で、収穫量は約3.5トンあった(昨年は約2トンを収穫した)。現在のコーヒー豆の買取り価格は過去最高値であり、経費を差し引くと、タイン氏の家族は2億ドン(≒7,700米ドル)以上の利益があった。 タイン氏はほかのバリア・ブンタウ省の農家の人々と同様に以前にもコーヒーノキを栽培していたことがあるが、価格が下落したためそれを伐採しコショウの栽培に切り替えた。コショウの価格が下落したので、彼の家族はコーヒーとドリアンの混植に復帰した。タイン氏はいう:
「コーヒー(珈琲)価格が低迷していた時期、わたしたちはコショウ(胡椒)とドリアン(榴蓮)の栽培に切り替えた。しかし、しばらくすると、コショウの収穫には非常に手間がかかるのに、コショウの価格は下がってしまった。ドリアンの木も手入れが難しく、肥料や農薬の経費も高くつくため、家族はコーヒー栽培に復帰することにした。他の作物に切り替えたあと、比較して見て、コーヒーノキは育てやすく、手入れも簡単で、肥料や農薬の経費もそれほどかからず、収穫もコショウほど難しくないことに気付いた。これは、妻やわたしのような高齢の農家にとって非常に適している。もし買取り価格が今のように安定していれば、農家はこの種の作物を栽培する際に苦労する必要がなく、好ましいことだ」。

2023年7月、バリア・ブンタウ省人民委員会は、「2021-2025年段階コーヒー再耕提案(スキーム1178)実現計画」に関するバリア・ブンタウ省人民委員会の2023年2月07日付決定第186号を発出した。同決定によれば、2021~2025年にかけて(決定発効からは2023~2025年にかけて)、同省はスエンモク県とチャウドゥク県の108 haのコーヒーノキを植え替える計画である。植え替え後の安定経営期間中のコーヒー農地の生産性は平均3〜3.5トン/haに達し、コーヒーの単位面積当たりの収入は植え替え前と比べて1.5倍に増加するものと見込む。



